第16話 時にはピンポンダッシュのように・・・

オリエンテーションでしくじってから心がめくり上がるぐらい落ち込みました。
自分自身の不甲斐なさ、精神的弱さ。
もうわけがわからなくなっていました。
高校の授業が始まりました。
真新しい教科書に向かいながらも神経が常に股間に集中している状態。
50分の授業時間が我慢できるかどうか・・・
症状はだいぶ悪化していました。
少しずつ友達も出来始めました。
予想に反してオリエンテーションの途中でトイレに行ったことを誰も突っ込んできませんでした。
ある時、最初に仲良くなった友達と話をしていると神妙な顔をしてポツリと漏らしました。
「お前、ぜんぜん怖い奴じゃないなぁ」
なんのことか意味がわからなかったので尋ねるとようするにこういうことでした。
オリエンテーションの途中でいきなり立ち上がり堂々とトイレにいったから
やばい奴だと思っていたらしいのです。
「いきなり立ち上がこっち向くからさ・・・」
この友達はオリエンテーションの時に私の後ろに座っている奴でした。
「生活指導の先生があまりにもくだらなかったから
先生を殴りにいこうと思ったけど、思い直してトイレにいってやった」
友達は笑ってくれました。
クラスの人達にはまだ私が頻繁にトイレに行くことに気づかれてないようでした。
しかし、ゆっくり話している余裕は私にはありませんでした。
授業の間の10分休憩に絶対トイレに行かなくてはいけません。
私の休憩時間は9分しかなく1分はトイレのための時間だからです。
ただ休憩中、話が盛り上がっている時にトイレに行くタイミングがない時があります。
そういう時はチャイムがなってから、先生が教室に来るまでの間に
猛ダッシュで行かなくてはなりません。
こんなにダッシュするのは小学生の時にしたピンポンダッシュ以来です。
たまに先生が早く来ていて怒られることもありました。
(なんで怒られないといけないんだ!)
でも、説明してもわかってないだろうからどうしようもありません。
なんとか、やりくりして誤魔化しながら
うまくやっていると私は思っていたのですが
ただひとり私の極度のトレイ通いに
気づいている人間がいました。
続く・・・
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