第15話 前途多難の高校生活 しくじりのオリエンテーション

無事、入学式を終えてホッとしている間もなくあらたな難関がやってきました。
それは "オリエンテーション"
これからの高校生活のことやら部活動の紹介など体育館で話を聞かされるとのこと。
私にとっては長時間の拘束であり監禁でありいわば拷問といえる催しです。
1時間目が教室でホームルームを終えた後
2時間目から2時間目まで"オリエンテーション"でした。
時間にして150分の拷問です。
まだ、打ち解けて話せる人もおらず頻尿を紛らわす手段が見当たりませんでした。
高校生活2日目でもし漏らしたら私の高校生活はThe End・・・ご臨終です。
1時間目が終わって体育館に行く前、ギリギリの時間でトイレに行きました。
オリエンテーションのスケジュールがわからず休憩時間があるのかさえもわかりません。
体育館に入場すると4月とはいえ、すこしひんやりしました。
この肌寒さが不安のゲージを少し押し上げました。
男子は前、女子が後ろという配列で座らされました。
体育館のトイレは後方にあります。
もし、トイレに行きたくなって駆け込む場合は
女子の列の中を突っ切っていかなくてはなりません。
さらに不安のゲージを押しあげました。
何か気を紛らわす方法はないだろうか。
実は校長が少年院で元暴走族の総長だったとか
とっておきのすべらない話をしてくれて
何もかも忘れさせてくれるくらい笑かせてくれたら・・・
ないか。
オリエンテーションは予定どおり始まりました。
最初に高校生活の心得的な話が校長からありました。
予想通り、大量生産的は型通りの話を長時間聴かされました。
>人生を左右する大切な3年間で・・・
>服装の乱れは心の乱れ・・・
>為せば成る、為さねば成らぬ何事も・・
実に退屈な話で、気を紛らわすどころか不安を増幅させました。
校長の話がおわっても休憩はなく次は年間スケジュールについて、教頭がしゃべり始めました。
>4月*日に、××青少年センターへ・・・
>ボランティア活動として駅前清掃と・・・
>9月の文化祭には・・・
(あれ、なんか・・・)
>3年の修学旅行では・・・
>我が校の進学率は・・・・
>OBの活躍により・・・
(やばい、なんかやばい感じ・・・)
>それではみなさん、充実した3年間にしてください。
話が終わりました。さぁ、休憩を挟んでくれお願いします!
>続いて、生活指導の○○先生からのお話しです。
(うそ~、やばい、すぐに終わってくれ・・・)
>我が校の校則として・・・
(どうでもいいだろ!)
>髪の毛の脱色と着色について・・・
(する奴はするって!)
>スカートの丈は・・・
(やばい、行きたい、トイレに行きたい・・・)
>バイクの免許については・・・
(ダメ、ダメ、漏れそう!)
あぁ、始まったばかりの高校生活、漏らすわけにはいかない。
漏らすわけにはいかない。
漏らすわけにはいかない。
漏らすわけにはいかない。
漏らすわけにはいかない。
漏らすわけにはいかない。
漏らすわけにはいかない。
漏らすわけにはいかない。
漏らすわけにはいかない。
漏らすわけにはいかない。
漏らすわけにはいかない。
漏らすわけにはいかない。
漏らすわけにはいかない。
漏らすわけにはいかない。
限界です!
私は立ちました。
体を後方に向けました。
視線は集まりました。
ゆっくりした速足で歩きだしました。
予め決まっていたかのように落ち着いた風に速足で歩きました。
何人かの先生が私の方に歩いてくるのがわかりました。
(先にトイレに辿りつかないと漏らしてしまう!)
私は速度を早めました。
女子の列の間は歩きました。
何事も縛られない自由の象徴のように威風堂々と速足で歩きました。
生活指導の先生はまだ喋り続けていました。
>集団生活においては一人の身勝手な行動が・・・
>ルールを守ることは社会にとって・・・
その時、突然腕を捕まれました。
「おい、どこに行くんだ!」
担任でした。
頭を七三に分けた日本史の先生でした。
ここで事情を説明している余裕はありませんでした。
「腹が痛いのでトイレに行きたい・・・」
回りに聞こえない程度の小声で言いました。
担任は無言でつかんだ手を離し早く行け!という感じで手をサッサと振りました。
トイレに辿りついて私は思い存分、放尿しました。
幸福感と安心感が私を包み込みました。
長年、積かせてきた努力が報われたような気分でした。
放尿が終わり、急に現実に引き戻されどっと疲労感が襲ってきました。
たしかに漏らしはしませんでしたがこれからの高校生活が思いやられました。
幸いというかうまくいったというか
この件でクラスでの私の印象は
生活指導の先生が話をしている途中にかかわらず
堂々とトイレに行く度胸のある奴orとんでもないヤバイ奴
イメージがつきました。
数日で、そんな奴じゃないってすぐばれるのですが。
続く・・・
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